不定詞は英語を勉強していると必ず遭遇する文法単元の1つですよね!
ただForest(フォレスト)やNext stage(ネクステージ)などの参考書を見ても数十ページに渡る解説がなされている上に丸暗記しないとダメな表現も多いため、多くの人がやる気をなくしてしまいがちです...
しかし!!
実は不定詞は文型と「簡単な品詞」の特徴さえ抑えれば、全て本質からマスター出来るんです!
実際に不定詞の全表現を文型と品詞に基づいて分解した表が以下のPDFファイルです
1ページ目のスライドを見るとわかるように、不定詞の全ての表現が元をたどると「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」なんです!
そんな不定詞の全単元を各用法ごとに基礎から解説していきます
第1回目となる今回は「名詞的用法」を扱います
目次
そもそも不定詞や名詞的用法ってなに?
まず不定詞とはto不定詞とも呼ばれ、「to+動詞の原型」の形をしているもの全般を指します
そしてさきほど述べたように大きく分けて「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の3つに分類することが出来ます
「不定詞」という名前自体に注目して「(品)詞が不定、つまり定まらない」から名詞や形容詞や副詞になると考えると分かりやすいです(本当の名前の由来は少し異なりますが難しいのでこう覚えておくと良いと思います)
そして今回扱う名詞的用法は名詞と同じ働きをし名詞っぽい訳し方をする必要があるのでto Vを「Vすること」と訳します
例) to play tennis「テニスをすること」
また役割としては名詞と全く同じなので、記号で言うとS(主語)やO(目的語)やC(補語)になることが出来ます(詳しくは文型の見分け方参照)
その点を踏まえて名詞的用法の全表現を図にしたのがこちらです
これだけだと分かりづらいと思うので1つずつ順に解説していきます
① 名詞なので主語Sになれる
まず主語Sに名詞的用法の不定詞が用いられている例文はこちらです
この例文では2文型「SVC」の主語SにTo use the machine「その機械を使うこと」という名詞的用法の不定詞が来ています
また2文型の訳し方は「SはCである(ようにVする)」で動詞Vはニュアンスをただ添えるだけでしたね!(詳しくは文型の特徴と使い方」参照)
今は動詞Vはただのbe動詞なので特に意味はなくSとCが純粋にイコール関係であることを表すだけです
なので日本語訳は「SはCである」のSとCに各英単語の意味を当てはめて「その機械を使うことは難しい」となります
② 名詞なので目的語Oになれる
目的語Oに名詞的用法の不定詞が用いられている例文はこちらです
この例文では3文型「SVO」の目的語Oにto meet you「あなたに会うこと」という名詞的用法の不定詞が来ています
3文型の訳し方は「SはOをVする」なのでSとOとVに各英単語の意味を当てはめて「私はあなたにあうことを欲する」が直訳になります
これを意訳すると「私はあなたに会いたい」となります
③ 名詞なので補語Cになれる
補語Cに名詞的用法の不定詞が用いられている例文はこちらです
この例文では2文型「SVC」の補語CにTo play tennis「テニスをすること」という名詞的用法の不定詞が来ています
日本語訳は①と同様に「SはCである」のSとCに各英単語の意味を当てはめて「私の趣味はテニスをすることだ」となります
④ 形式主語it
不定詞の名詞的用法では、その名詞のかたまりが長い時は代わりにItで表して後ろへ持ってくることがあります
例えば①の例文でいうとTo use the machineが主語になっていて後ろの「is difficult」と比べると少し長いですよね
そのため代わりにItで表してTo use the machineは後ろへ持ってきます
構造上ではなく意味的にS,V,O,Cと同じ役割をする単語をここでは(V)や(O)のようにかっこつきで表現しています
今回はuseが意味上の動詞(V)、the machineが意味上の目的語(O)です
またこのようにTo use the machineの代わりに主語Sとなったitを「形式主語のit」と呼んだりしますが、難しければ別に覚えなくても大丈夫です
名詞のかたまりが長い時はItで表して後ろへ持ってくる
とだけ覚えておきましょう!
補足
名詞のかたまりが長いときに後ろに持ってくる理由は、英語は頭でっかちな文(前が後ろに比べて長い文)を嫌う言語だからです
例えばkeep A in mind「Aを心に留める」といった表現でもAが長いときは、後ろへと持ってきます
例文) You should keep in mind a well-balanced, well-proportioned meal.
「君はバランスのとれた適切な量の食事を心がけるべきだ」
また目的語のAに不定詞の名詞的用法がくる場合、形式主語のitと同様に代わりにItで表して後ろへともってくることがあります
例文) I always keep it in mind to think in English as much as possible.
「私は出来るだけ英語で考えるように常に心がけている」
⑤ 不定詞の目的語を前へ
④の例文「It is difficult to use the machine.」のdifficultのように、ある特定の形容詞では不定詞の目的語(O)を前に持ってくることが出来ます
意味は④とほぼ変わりませんが、主語がThe machine単体なので「その機械はね、...なんだ!」と、より名詞単体を強調したいときにこの表現を用います
なので日本語訳は「その機械は使うのが難しい」となります
このような表現が出来るのは特定の形容詞に限られますが、その形容詞を覚えたい場合は
「可難快危(かなんかいき)」
と四字熟語のように覚えておくと良いでしょう
以下のように各漢字の意味に対応する形容詞が全てこの表現をとれる形容詞です
impossibleやeasyのように各漢字の対義語の意味を持つ形容詞も含まれます
逆に「可」の意味を持つ形容詞であるpossibleはこの表現をとらないので余裕があれば覚えておきましょう!
⑥ 意味上の主語を表すfor
さきほど④の例文であるIt is difficult to use the machine.「その機械を使うことは難しい」ではuseが意味上の動詞(V)、the machineが意味上の目的語(O)であると述べました
しかし「その機械を使うことは難しい」ではなく「彼がその機械を使うことは難しい」を表現したいとき、つまり意味上の主語(S)を明示的に表したい場合はどうすればよいのでしょうか?
そんなときには前置詞forとともにuseの前に挿入してやります
これで意味上の主語(S)を表現することができました
⑦ 意味上の主語を表すof
⑥で意味上の主語を表したいときはforを用いると述べましたが、forの代わりにofを用いることもあります
それは「It is 形容詞 to 〜」の形容詞に人の性質を表す形容詞が来る場合です
nice, stupid, carelessがその形容詞の代表例で、以下のように意味上の主語をofを伴って表現します
また日本語訳も「彼を助けるなんてあなたは素敵ですね」と全体として人の性質を表す文になります
このようにofを用いる理由は人の性質を表す形容詞の前後にaとpartが省略されていると考えると分かりやすいです
つまり
It is nice of you to help him.
は元々は
It is a nice part of you to help him.
であったということです
この本来の英文の日本語訳は「彼を助けることは君の素敵な一面だ」となり、不定詞で表わされる行為を通して人の性質を示す文になってますよね!
そのため、人の性質を表す形容詞の場合はforの代わりにofを用いることになります
補足
副詞的用法をすでに知っている方は、意味上の主語でofが用いられている英文の日本語訳は「副詞的用法の判断の根拠」と同じになることも抑えておくとベターです
つまり今回の例文「It is nice of you to help him.」は副詞的用法の判断の根拠で解釈できる英文「You are nice to help him.」と同じ意味になり、どちらも日本語訳は「彼を助けるなんてあなたは素敵ですね」となります
まとめ
以上の説明のまとめ図を念の為もう一度載せておきます
今回の解説で不定詞の名詞的用法が少しでも本質から理解してもらえたら嬉しいです
続きの形容詞的用法については以下のページで解説しています!
動名詞の表はこちら↓