不定詞の全表現は文型と品詞に基づくと全て本質から説明することができます
第2回目となる今回は「形容詞的用法」について扱います
まだ第1回目の記事をよまれていないかたは以下のページからどうぞ
今回のポイント
今回抑えて欲しい内容は以下の通りです
- 形容詞的用法には二種類の用法があることを理解する
- 限定用法の3パターン(余裕があれば5パターン)を抑える
また今回主に解説する限定用法の全表現をまとめたのがこちらです
では順に説明していきます!
形容詞的用法ってなに?
復習になりますが、不定詞の全表現を文型と品詞に基づいて分解すると「名詞的用法」「形容詞的用法」「副詞的用法」の3つに分類することが出来ます
今回扱う形容詞的用法は形容詞と同じ働きをします
ここで思い出していただきたいのが、形容詞は二種類存在することです
それは限定用法と叙述用法です
上記の例文1のように、名詞を修飾する(名詞にかかる)形容詞を限定用法の形容詞、例文2のように単独で用いられ補語Cになる形容詞を叙述用法の形容詞といいます(詳しくは品詞の見分け方参照)
形容詞と同様に不定詞の形容詞的用法も「限定用法」と「叙述用法」の二種類存在します
そのうち今回は限定用法を扱います
限定用法の基本
限定用法の語順は「名詞+to不定詞」の順になり、to以下のかたまりで名詞を後ろから修飾します
そのため日本語訳は「〜するための...」や「〜するべき...」と名詞にかかる訳し方が基本となります
(「ための」や「べき」は文脈に応じて省略されることもあります)
上記のように、不定詞の形容詞的用法(限定用法)を見つけたら、不定詞のかたまりを()で囲み、「やじるし」でそのかたまりがかかる名詞を示すようにしましょう
1. (S)(V)関係
限定用法の形容詞は「不定詞のかたまりがかかる名詞」と「to直後の動詞」との関係によって3パターンに分類できます
ここでいう関係とは意味的に記号(S,V,O,C)をとってみたときにどういうペアになるのかということです
先ほどの例文「I have no one to help me.」でいうと、no oneはhelp meする主体なので意味上の主語(S)、help meはそれぞれ意味上の動詞(V)と目的語(O)と考えられるので、no oneとhelpは(S)(V)関係にあるということができます
日本語訳もこの関係を意識して「私には助けてくれる人がいない」となります
2. (O)(V)関係
(S)(V)関係の他には(O)(V)関係があります
以下の例文をみてください
先ほどの例文「I have no one to help me.」と比べると、help meのmeが抜け落ちた形になっていますよね
これはhelpが他動詞(目的語を取る動詞)であるにもかかわらず、後ろにくるべき(意味上の)目的語が欠落しているということです
このように欠落している理由はno oneがhelpの意味上の目的語(O)になっているためです
つまり先ほどの例文ではhelpする対象はmeであったのに対して、今回はno oneとなります
また意味上の主語(S)が特に書かれていない場合は文の主語Sと一致すると考えるので今回はは文の主語であるI「私」がhelpの意味上の主語(S)になります
日本語訳はこれらの関係を意識して「私には助けるべき人がいない」となります
このようにhelpする対象がno one「誰も〜ない」であることが分かるような訳になるようにしましょう
3. (前置詞のO)(V)関係
(O)(V)関係の発展として(前置詞のO)(V)関係もあります
前置詞のOとは「前置詞の目的語」のことです
以下の例文をみてください
前置詞inの後に本来くるはずの名詞(前置詞の目的語)が欠落しています
欠落している理由はno houseが前置詞inの意味上の目的語(前置詞のO)になっているためです
また意味上の主語(S)は(O)(V)関係と同様に文の主語I「私」と一致するのでそれらを意識して日本語訳を考えると「私には住む(べき)家がない」となります
このように「不定詞のかたまりがかかる名詞」と「to直後の動詞」との関係によって訳し方も変わってくるのでしっかりと把握するようにしましょう!
4. 「関係副詞+主語」の代わり
1~3の(S)(V)関係、(O)(V)関係、(前置詞のO)(V)関係が限定用法の基本ですが、それとは別に不定詞toが「関係副詞(when,howなど)+主語」の代わりをすることがあります
以下の例文をみてください
この例文は以下の英文に書き換えることが可能です
例文) What is the best way how I learn English?
つまり不定詞toがhow Iの代わりをしています
日本語訳はどちらも「英語を身につける一番良い方法はなんですか?」となります
もう一つ例をあげると
は以下の英文と同じ意味です
例文) It is time when you went to bed now.
不定詞がwhen youの代わりをしています(仮定法の表現なので過去形wentが用いられてますが、不定詞を用いた表現ではtoの後は動詞の原形なのでgoになります)
日本語訳はどちらも「もう寝る時間ですよ!」となります
5. 同格のto
不定詞のかたまりが、かかる名詞を補足的に説明する同格のtoがあります
同格のtoは「〜という」と訳せば良いです(省略したほうが綺麗に訳せることもあります)
例えば以下のような例文です
前から訳すと「あなたには権利があるよ!どんな権利かっていうと黙秘するという権利ね!」となり、the right「権利」をto remain silent「黙秘するという〜」が後ろから補足的に説明しています
以下の例文も同じく同格のtoを用いた表現です
同格のtoは「〜という」訳になるとおぼえて置きましょう!
補足
同格のtoの応用例として「元々toをとる表現の名詞化バージョン」があります
その場合は元の表現を意識して訳す必要があります
以下の例文をみてください
例文) He has the ability to do the job.
この例文のthe ability to doはbe able to do「doすることが出来る」の表現が名詞化したものになってます
よって訳し方もその点を意識して「彼は仕事が出来る」と訳します
同格のto「〜という」だけを踏まえて直訳すると「彼は仕事をする(という)能力がある」となりこの例文では間違いではありませんが、名詞化を意識しないと間違ってしまう場合もあります
たとえば以下のような英文です
この表現ではrefusal to carry outがrefuse(d) to carry out「計画の実行を拒否する(した)」という表現が名詞化したものなので「彼が計画の実行を拒否する(した)こと」と元の表現をベースに名詞の訳をします
もし名詞化を意識せずにただの同格のtoとして訳すと「計画を実行する(という)拒否」となって、正しい意味が伝わらなくなってしまいます
そのため、元々toを取る表現が名詞化したものには気をつけるようにしましょう
まとめ
以上の説明のまとめ図を念の為もう一度載せておきます
次回は形容詞的用法の叙述用法について解説します!