高校数学

意外と奥深い?相加相乗平均の使い方と注意点

数学を勉強していると「相加相乗平均の関係」が地味に何度も登場しますよね

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最小値がすぐに求まる!かなり便利!

というプラスな意見がある一方、
使い方がややこしくて俺は好きじゃない...
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そんな意見も耳にします
そこで今回は、入試問題での相加相乗平均の使い方や注意点をご紹介します

相加相乗平均の関係とは?

まず相加相乗平均の関係について確認しましょう。
相加相乗平均の関係とは、ある2つの変数\(x\)と\(y\) が\(x>0,y>0\)を満たす時、

\begin{align}
x+y{\geq} 2\sqrt{xy} \label{eq1}
\end{align}

が成り立つことを表します。
そして「等号成立、つまり\(x+y= 2\sqrt{xy}\))となるのは \(x=y\) のとき」です。
これを等号成立条件と言いますが、相加相乗平均を使う時はこの等号成立条件を書かないと減点されます(理由は後ほど説明します)

つまり2つの正の変数\(x\)と\(y\)があるとき、それを足した値は\(2\sqrt{xy}\)以上であるということです
これで\(x+y\)の最小値が求まるというわけですね!

実際に使ってみた

今回は以下の問題で相加相乗平均の関係を利用してみましょう。

a>0のとき\(\frac{a^2+1}{a} \)の最小値を求めよ

まずは分子\(a^2+1\)を分母\(a\)で割って2つの変数の和の形にしましょう

\begin{align}
a+\frac{1}{a} \label{eq3}
\end{align}

次に\(x=a\)、\(y=\frac{1}{a}\)として代入すると

\begin{align}
a+\frac{1}{a}{\geq} 2\sqrt{a \cdot \frac{1}{a}}=2 \label{eq4}
\end{align}

ルートの中身が綺麗に消えて、最小値2が一瞬で出てきました!
これはかなり便利ですね!
ただし先ほども言ったように等号成立条件を書き忘れないように注意しましょう
(記入例:「ただし等号成立は\(a=\frac{1}{a}\)、つまり\(a=1\)のとき成り立つ。」)

注意点

非常に便利な相加相乗平均ですが、以下の3点に気をつける必要があります。

正の変数にしか使えない

まず大前提として2つの変数が両方正の時にしか使用することが出来ません。
先ほどの例では\(x=a\)、\(y=\frac{1}{a}\)として相加相乗を用いましたが、これは\(a\)と\(\frac{1}{a}\)が両方正だったからです
意外に盲点なので気をつけましょう

ルートの中の変数が消えるときしか使えない

上の\(\sqrt{a \cdot \frac{1}{a}}\)では、ルートの中にあった変数\(a\)が消えましたよね
このように相加相乗を利用する際はルートの中の変数が綺麗に消える必要があります
よって\(\frac{x^2+3x+4}{x+3}\)、つまり\(x+\frac{4}{x+3}\)に相加相乗平均を利用したい場合、そのまま適用すると

\begin{align}
x+\frac{4}{x+3}{\geq} 2\sqrt{x \cdot \frac{4}{x+3}}  \label{eq5}
\end{align}

となって、ルートの中で変数が消えてくれません。
こういう時は、\(x+\frac{4}{x+3}=x+3+\frac{4}{x+3}-3\)と変形してから、以下のように相加相乗を用いれば良いんです!

\begin{align}
&x+3+\frac{4}{x+3}-3 \\ \nonumber
&{\geq} 2\sqrt{x+3 \cdot \frac{4}{x+3}}-3 \\ \nonumber
&=2\sqrt{4}-3 \\ \nonumber
&=1 \nonumber
\end{align}

今度はうまくルートの中の変数が消えてくれました!

なぜ等号成立条件が必要なのか?

今まで等号成立条件を必ず明記するように伝えてきました
念のため、その理由をお伝えしておきます
先ほど相加相乗平均の関係とは、ある2つの変数\(x\)と\(y\) が\(x>0,y>0\)を満たす時、

\begin{align}
x+y{\geq} 2\sqrt{xy} \label{eq6}
\end{align}

が成り立つことであり、これによって\(x+y\)の最小値が\(2\sqrt{xy}\)だとわかるとお伝えしました実は厳密にいうと間違いなんです...
なぜかというと、これは\(x+y\)が\(2\sqrt{xy}\)以上であるといっているだけで、実際に\(2\sqrt{xy}\)の値をとるかどうかはわからないからです
分かりやすくお伝えするために大人の身長に例えて説明します
以下の不等式をご覧ください

(大人の身長)\({\geq} 30 cm\)

一般に大人の身長は30cm以上だと思うので、上式は成り立っています
ただ30cmの身長の大人は存在するでしょうか?
その人を実際に連れてきて初めて存在することがわかりますよね

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不等式が成り立つかどうかとその値を実際に取るかどうかはまた別の話なんだ♪

これと同じで\(x+y{\geq} 2\sqrt{xy}\)も、\(x+y\)が\(2\sqrt{xy}\)以上であるといっているだけで、実際に\(2\sqrt{xy}\)の値をとるとは限らないんです!
等号が成立する、つまり\(x+y=2\sqrt{xy}\)となるときの\(x\)と\(y\)の値を求めて初めて\(2\sqrt{xy}\)の値をとり、これが最小値であるといえるのです
これが等号成立条件を必ず明記しなければならない理由です

まとめ

いかがでしたか?
相加相乗平均の関係が利用できるように、うまく変形する必要がある点、等号成立条件を忘れずに述べる点が少し面倒でしたね
ただ最小値をこれほど一瞬に求めることが出来るのは便利というしかありません!
うまく使いこなせるようがんばりましょう!

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